“伝統技術のコラボ”岩谷堂と暮らす! 名産品を身近に

株式会社岩谷堂タンス製作所

伝統技術を変えることなく現代の生活スタイルになじませる。『岩谷堂クラフト』を開発した岩谷堂タンス製作所 専務取締役の三品綾一郎氏

素材は県北のケヤキ、塗りは漆、金具は南部鉄製。奥州の匠の技を集めて完成する岩谷堂箪笥。その技術を継承したクラフト雑貨が新しくて楽しい!

飢饉が生んだ産業

岩手県南部、北上川中流域に位置する岩谷堂は平安時代には奥州藤原氏の初代当主・藤原清衡が館を構えた場所だ。北上川流域という場所柄、水運の要衝でもある。その地名を冠した「岩谷堂箪笥」は国の伝統的工芸品にも認定されており、伝統技術を今に伝える。

この箪笥の起源は平安時代にまでさかのぼるといわれているが、現在のような堅牢でありながら繊細な彫金がほどこされたデザインになったのは19世紀終わりごろのこと。天明2年(1872年)より6年間続いた未曽有の大飢饉に見舞われた際、米どころでもあった岩谷堂に新たな産業を、時の城主の命により誕生したのが岩谷堂箪笥である。ちょうど北上川沿いという地の利を活かし、水運を利用して木々を運び入れ、岩谷堂で加工して内地へと送る。石巻のコメと物々交換に使われたこともあったといい、文字通り岩谷堂を支えてきた重要な産業となって現在に至る。

天明2年創業の岩谷堂タンス製作所でも、その伝統技術を守りつつ箪笥を作り続けている。かつてはもっとシンプルだったという箪笥だが、需要に合わせ変化してきた、その変遷をも知る老舗だ。強度のある県北産の欅を外側に、内側は杉材や桐材を使用。漆塗りに南部鉄器や彫金をほどこした豪奢な金具がついているのが特徴。組み立て、塗り、鋳物、彫金とそれぞれ違う職人たちの手により、木材は完全に乾くまで数年を要することもあり、じっくりと手間と時間をかけて作られる。岩手県を代表する伝統技術である漆塗りと南部鉄の彫金技術が使われており、いわば“伝統技術のコラボレーション”だ。

何度も漆を塗り重ね、適度な力加減で拭き取ることで光沢を出す拭きうるし
職人さんの道具はすべて自前。モノづくりブームで需要が増えている反面、熟練の職人の数は減っており、現在岩谷堂箪笥を製造している会社は4社しかない

時代の変遷とともに生まれたクラフト雑貨

端材を活用したアクセサリーのIwayado craft

岩谷堂タンス製作所にはもうひとつ、近代化に伴って生まれたブランドがある。『Iwayado craft』。メガネやハサミなどさまざまなモチーフの木のブローチや漆塗りの小箱に収まった刺し子、小さな引き出しなど。小さくともやはり伝統技術を施してある。若い人に向けて作ったつもりが、意外と年配のお客にも人気で、「こんなモチーフのものが欲しい」といった声も聞こえるように。現在あるデザインのほかに、廃盤になったものもあり、コレクターにも人気があるという。

実はこれ、岩谷堂箪笥の制作過程で出てくる端材を利用したもの。「納品される材料は昔ながらの尺のサイズになっています。本来、箪笥を作っても端材は出ないのですが、近年では“cm”でのオーダーが増えました。するとどうしても端材が出てしまいます」。それを利用してできたのがこの『Iwayado craft』で、「自分たちの欲しいものを作っている」という。とはいえ、木目を美しく引き立たせた漆塗りのアクセサリーや雑貨は海外でも人気を博し、商品が拡充され2019年10月からは本格的に販売が開始される予定だ。

伝統技術を現代人の生活に。こうした雑貨を通して「箪笥の魅力に少しでも触れてもらえれば」と笑顔の三品氏だが、そのまなざしはしなやかに伝統技術を守り抜いていく、その決意に充ちている。

企業情報COMPANY

企業名 Iwayado craft / 岩谷堂タンス製作所
住所 岩手県奥州市江刺愛宕字海老島63-1
TEL 0197-35-7357(店舗)
URL http://its-iwayado.jp/
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