もっと「今」を知ってほしい。
喜多方ラーメンを通じて届けたい思いとは

喜多方 老麺 まるや

実にラーメンらしいラーメン。シンプルだからこそ、深みが求められる喜多方の醤油ラーメン

ウェブ検索で「喜多方」と打ち込むと、候補の一番に上がってくるのが「喜多方ラーメン」。日本の三大ラーメンにも数えられるご当地グルメの“今”とは。

正しい情報がなかなか伝わらない

毎月、期間限定で東京・日本橋の『ふくしま館』で喜多方ラーメンをふるまう人気店『まるや』三代目店主、矢田目憲一氏。
「東日本大震災によって、福島県のどこが、どのような被害を受けたのか、事実をちゃんと知っている人は多くないと感じています。それなのに、フクシマというだけで喜多方にまで人が来なくなってしまった」。喜多方市のラーメン店も、いまだに根強い風評被害に悩まされているのだという。だからこそ、矢田目氏はこうして「今」を知ってほしいとの思いも重ねて、各地で喜多方ラーメンの味を届けている。

『まるや』三代目当主の矢田目憲一氏には、熱い思いがある。厳しくも見える口調も、喜多方ラーメンの未来を憂えるからこそ

観光地に欠かせないご当地グルメ

喜多方市といえば「蔵の町」として知られる。現存する蔵の数は4千にものぼるといい、その風情ある街並みを散策するのが、観光客にとって一番人気のアクティビティ。街歩きに欠かせない、グルメ探訪の筆頭はもちろんラーメン店だ。人口に対するラーメン店の数が全国でも群を抜いて多いという喜多方ゆえ、ほとんどの観光客がラーメン店を目指す。かつては団体旅行や修学旅行客でにぎわいを見せていたが、震災後はめっきりその数は減った。どの店も客が減り、経営は厳しくなる。だが直接的な被災地ではないため、なんの補償もない。なんとかしなければ、と立ち上がったのが、『まるや』の矢田目氏であった。

蕎麦と同じ製法で作られるため、麺は平打ちが主流。ちょっとちぢれているがゆえ、スープのからみもよくすいすいすすることができる

先代から受け継いだもの

実はこの『まるや』、喜多方のラーメン店約100軒が集まり作られた団体『喜多方老麺会』初代会長の店だ。昭和29年創業の老舗。会長を務めたのは先代であったとはいえ、矢田目氏は店の味とともに喜多方老麺に対する責任感をもしっかりと引き継いでいる。だからこそ、この状況にいてもたってもいられない、そんな想いから毎月わざわざ東京の『ふくしま館』まで出張して、喜多方の味を世に伝え続けているのだ。当然のことながら出張中、喜多方の店はお留守になってしまう。それでも家族で支え合いながら「復興するまでは」と出張を欠かすことはない。喜多方を、喜多方ラーメンのおいしさを、忘れないでほしい――。矢田目氏は今日もまた、ラーメンを作り続ける。

ラーメン屋めぐりは喜多方のアクティビティのひとつ。『喜多方老麺会』加盟店はこの黒い旗が目印だ

喜多方ラーメンとは

そんな喜多方ラーメン。店ごとに発展してきたという歴史があるため、これといって定義を決めるのは難しい。とはいえ、やはり「蔵の町」ゆえ醸造蔵が多いこともあり、醤油の製造が盛んであったことから醤油味、そして蕎麦の産地でもあるため、麺の打ち方が蕎麦と同じであることに特徴があるという。
 『まるや』のラーメンもしかり。澄んだ琥珀色のスープに、しっかり煮しめたチャーシュー3枚とシナチク、ナルトにネギのトッピングと、見た目は実にシンプルな「ザ・昭和のラーメン」。香ばしい醤油味であっさりしていながら、コクがあるのはチャーシューの脂のおかげだろうか。豚や鶏、魚介と野菜からとる合わせ出汁。材料はすべて国産とこだわっている。
 日本橋『ふくしま館』でのラーメン提供は1日100食限定。2020年はコロナ禍の影響で座席数を半減しているため提供数にも制限があるが、連日ひっきりなしにお客が訪れ、完売する人気だ。風評を払拭するのにはまだまだ時間がかかるかもしれない。しかし、喜多方の味が多くの人に愛されていることだけは確かだろう。

『まるや』のラーメン。「箱に書いてある説明通りに作ったらちゃんとしたもんができるよ」と矢田目氏のコメント。自宅でご当地の味を再現できる

企業情報COMPANY

企業名 喜多方 老麺 まるや
住所 福島県喜多方市字寺南2628
TEL 0241-22-0613
URL -
商品ページ https://umaimon.smrj.go.jp/product/detail/hF004.html
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