伊達政宗が誇った仙台の味噌
同じであって同じではない、その違いとは

仙台味噌醤油

さまざまな味噌を展開する『ジョウセン 仙台味噌醤油』。だが「仙台味噌」と銘打つことができるのは、一定のルールを守っている商品だけだ

麹は5分から8分、塩分は11%から13%、必ず宮城県内で製造すること――仙台味噌には厳しい定義があるのをご存じだろうか。今も政宗の定めたレシピに従って作られる仙台味噌。製造元が違っても、味は同じなのだろうか?

全国に群を抜いて“質がいい”味噌

「仙台味噌」といえば、赤みその代表格。がつんと塩のきいた辛口の味わいに、強いうまみがあるのが特徴だ。「野菜の出汁だけで十分おいしい汁ものができる、それが仙台味噌の魅力です」と話すのは、仙台味噌全国シェアのトップを誇る『ジョウセン 仙台味噌醤油』東京支社勤務 真木茂氏。仙台味噌について教えてもらった。
 そもそも「仙台味噌」とは、どんなものか。歴史をさかのぼること400年、時は豊臣秀吉の統べる戦国時代。朝鮮への勢力拡大のため、全国の各藩から兵を招集した。その際、兵士はそれぞれ兵糧を持ち寄ったが、陸奥国(現在の宮城県を含む東北の広いエリア)の兵士が持ってきた味噌だけが6年にも及ぶ長い滞在期間に変質することなく味を保ったという。そのため「仙台の味噌は質がいい」との評判が一気に全国をかけめぐる。それを受け、良質の仙台ならではの味噌をつくるため、当時藩の長であった伊達政宗は『御塩噌蔵(おえんそぐら)』と呼ばれる味噌工場を建設、仙台味噌の質の安定を図ったというのがはじまりだ。

仙台味噌について詳しく教えてくれたジョウセンの営業・真木茂氏。東日本大震災で流通が止まってしまったとき、商品を待つ顧客のために自ら納品に奔走した

仙台味噌とは“伊達レシピ”

政宗が決めた仙台味噌の定義は、塩の分量から味噌の色まで、きっちりと定められている。製造からパッキングまで、すべて宮城県内で行うことも盛り込まれ、それらをクリアして初めて「仙台味噌」と名乗ることができるのだ。現在、仙台味噌を作る企業は宮城県内に40社ほど。ここでふと疑問がわき上がる。「同じレシピで作った味噌は、どれも同じなのではないか?」。
 「いい質問ですね~」と笑う真木氏。「それが、ちょっと違うのです」――。
 まずは、手順。味噌の原料は大豆。ジョウセンでは米をも入れてじっくり時間をかけて発酵させている。大豆は茹でずに蒸す。うまみを逃がさないためだ。また、同社はより良い水を求めて工場を水の良い、わさび沢に移転させたといい、使う材料によっても違いはでてくる。だが、その味を決定的に決めるのは、麹なのだという。

かつては町なかにあった工場を、水や環境のいい大崎市わさび沢に移転。麹室の壁までも移転する大掛かりな引っ越しだったが、それも麹を守るため

微生物ごとお引越し

発酵に欠かせない麹は、微生物の働きによって作られる。温度や湿度はもちろん、空気中に漂う自然の菌類によって影響を受けるため、空間ごとに微妙に違った出来になる。品質を安定させるために徹底管理が必要。ジョウセンでも、旧工場の設備品や味噌の樽も新工場へ持ち込んで微生物も一緒に引っ越した。以前と同じ環境を再現しなければ同じ麹にならないからだ。ジョウセンが全国で愛される仙台味噌を作ることができるのは、この麹の力が大きい。麹は意図してできるものではないがゆえに、『仙台味噌醤油』の優良な麹は財産であり、それを守るための努力は並大抵ではないのだ。

ジョウセンの麹室。良質の麹を守るため、徹底管理されている。このような設備がなかった時代にはさぞ管理するのは大変だったであろう

健康意識の高い人にもアピール

ところで、仙台味噌は塩が強いのも特徴のひとつ。だが、世間は空前の健康ブームだし、そもそも味噌自体、若い世代にこだわりを持つ人が減ってきている。そこでジョウセンでは長年愛されてきた商品のほかに、次世代向けの新しい商品を開発することに。仙台味噌というからには塩分を減らすことはできないので、できあがったのは有機素材にこだわって作った『やさしいおみそ』である。
 味噌には珍しいグリーンのパッケージに、ポップなイラストが印象的。おもしろいのは、同じ手法、同じ麹で作った仙台味噌でありながら同社の“いつもの”仙台味噌と味わいが違うことだ。原材料によって麹の醸し出す味が異なるというのもまた、発酵食品の楽しみどころではないだろうか。
 真木氏によると、みりんと味噌を混ぜたものに肉をひと晩つけておいてみそ焼きにしたり、おにぎりにそのまま塗って食べるといったアレンジは仙台っ子にはおなじみとのこと。仙台味噌は「出汁いらず」といわれるほどうまみが強いので、そのままいただいてもおいしいのだ。みそ汁はもちろん、さまざまな使い方ができる仙台味噌。ぜひ生活に取り入れたい。

こぶりで使い切りやすいサイズの『やさしいおみそ』は、健康意識の高い人に向けた仙台味噌。伊達レシピの新形態

企業情報COMPANY

企業名 仙台味噌醤油株式会社
住所 宮城県仙台市若林区古城1-5-1
TEL 022-286-3153
URL http://www.sendaimiso.co.jp/
商品ページ https://umaimon.smrj.go.jp/product/detail/109.html
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